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パーフェクト PHP 書評

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パーフェクト PHP

パーフェクト PHP

いきなり結論

少なくとも PHP 5.3 時代である現在、この本の登場をもって、これまでにあった有象無象の「PHP と MySQL でインタラクティブなホームページをつくろう !」的な本はその役割を終えました … と言えるぐらい網羅されているので、買いましょう。

この書籍のターゲット

購入前のイメージでは中級者以上向けかと思っていましたが、手に取って読んでみると、初心者も対象に含まれているようで、 PHP のインストールや、文法の概要についてもカバーされていました。

ある程度 PHP を使いこなしている人であれば、読み飛ばす箇所も結構あると思いますが、言語仕様の細かい部分で「これは知らなかった」という部分にも出会えます。
例えば、リファレンスカウントによるガベージコレクションの仕組みや、コピーオンライトによる最適化については、知らない人も結構いると思います。 (少なくとも、私は PHP でコピーオンライトが使われていると意識したことはありませんでした)

個人的には、エキスパートPythonプログラミング みたいに、「これを読めば PHP ハッカーになれる !」みたいなのを期待していましたが、そういうのは想定されいないようです。
その分敷居はやや低めなので、 PHP 入門以前の方も安心して楽しめます。

書いてあること

  • インストール方法
    Linux, Mac のパッケージマネージャによるインストールと、 Windows では XAMPP によるインストール方法が紹介されています。
  • 内部処理の概要
    レキサー、パーサー、オペコードについての簡単な説明。
  • 基本的な文法
    既に PHP が書ける人であれば読み飛ばせる。
  • PHP 5.3 以降の新しい機能
    名前空間、無名関数、クロージャ、クラスのオートローディングなどについてもしっかり詳解されています。
    業務ではまだ 5.2 以前の PHP を使っている、という人も覚えておきたい内容。
  • Web アプリケーションの作成
    フレームワークを作成して、それを基に Twitter ライクな Web アプリケーションを作成しています。
    フレームワーク自体は割とミニマムにまとまっているので、いわゆるフレームワークが何をしてくれるのか、というのを雑観するのにもいいと思います。
  • セキュリティ
    XSS, CSRF, SQL インジェクションをはじめとして、具体的な攻撃手法とその対策が紹介されています。
    全 PHP エンジニアが理解しておくべき内容。
  • やや高度な機能
    主に PHP5 以降のオブジェクト指向的な何かについて。
    マジックメソッド、標準インターフェイス、SPL、PDO、DateTime、JSON 等。
  • 雑多なテクニック
    いわゆるレシピ。

書いてないこと

  • 既存オープンソースフレームワーク解説
    symfony のシの字も、 Ethna のエの字もありません。
    著者の中にはそれらの関係者の方もいますが、意図的にトピックから外しているようです。
  • テスト駆動開発
    エキスパートPythonプログラミング みたいに、そこまで触れるというのもありだとは思いました。
    とはいえ、具体的なフレームワークの紹介は行わない方針のようなので、そういった意味でもしょうが無いですねこれは。
  • PEAR/PECL パッケージの作り方
    それぞれの概要については触れられるものの、パッケージの作り方については特に言及されていません。
    Openpear についての宣伝があっても誰も怒らないとは思うのですが …
  • オブジェクト指向それ自体の説明
    「PHP におけるオブジェクト指向」には触れられていますが、それ以上については専門書を読みましょう。
  • コーディング規約
    個人的にはモダン PHP を語る上では、結構重要なトピックだと思っています。

結構斜め読みで読み終えているので、「これについてはちゃんと書かれていたよ !」というのがあればご指摘いただければ幸いです。

初心者にオススメしたい活用法

PHP 初心者、もしくはこれから入門、という方に「こういう勉強法はどうでしょう ?」ということでオススメします。
といっても私自信がこれを実践したわけではないので、あまり偉そうには言えませんが …
あくまでも「いち提案」として。

  1. Part 1 を読みながら、ローカルに開発環境を構築する
  2. Part 3 の実践 Web アプリケーション開発をひたすら写経
    Part 2 の言語仕様をいきなり読むのは大変なので、じっくり読むのは何となくで PHP が書けるようになってから
  3. Part 4 の PHP セキュリティについての読書会を行う
    業務で PHP を使っているのであれば、是非チームで共有しましょう
  4. Part 5 のテクニカルな PHP の活用、 Part 6 の PHP レシピはすき間時間等に読んでおき、「こんなこともできるのかー」程度に頭にいれておく

Part 4 の読書会は、私も自社内でやってみたいところです。

その他に読んでおきたい PHP 本

パーフェクト PHP が登場してもなお、その存在価値を失わないと思われる PHP 本を紹介します。
個別のフレームワークの解説本等は外し、より多くの PHP エンジニアに読まれるべきものを選んでいます。


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